【書評】地方都市の持続可能性
本書は特に廃藩置県以降の日本の都市の歴史を振り返ることで、今後の日本の都市の持続可能性について論じている。
そのため、廃藩置県以降の我が国の地方自治制度及び各地の都市の隆盛について知るには、いい本である。
著者曰く、これまで都市の力の指標としては人口が代表的であったが、今後人口減社会を迎えるにあたり何が都市の力のバロメーターとなるのか、これといったものはないという。
人口を追い求めるのものでもなく、1人当たりの所得も大都市と地方では地価が違い、事情が異なる。むしろ他所と比較するのではなく、己が道を進む以外にないと。
確かにその通りだが、現在の地方には己が道を見出せる人材が官民共に不足している。
一考に値するのは「バカの壁」でお馴染みの養老孟司氏が提唱する「逆参勤交代」だ。霞ヶ関に集中している日本のエリートを地方の現場に一定期間半強制的に移すのだ。
我が国は高齢化社会の文脈において、世界の最先端を走っている。その中でも最前線は日本の地方だ。その最前線にエリートを配置すれば、未来は今より上向くかもしれない。