ふるさと納税と黄金の羽根
橘玲氏の「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を読んだことをある方も多いと思う。
著者は文中で黄金の羽根のことを、日本の制度上の歪みから必ず利益が得られるポイントとしている。
昨今話題にあがることの多いふるさと納税はまさにその1つである、あるいはあったと言えるだろう。
本来税金とは富の再分配がその目的の1つであるが、このふるさと納税を巡っては所得が多い者ほど多くの返礼品が得られるようになっている。
また加熱した返礼品競争のため各自治体はこぞって広告をだして、寄付を呼びかけている。この広告費も勿論公費負担だ。
本来得られるはずだった税収のうちおよそ半分近くは返礼品やふるさと納税そのものの広告に使われていることになる。
だからといってこの制度を使わないことが正解なのだろうか。勿論、明確な意思を持って使わないと決めている人間にまで強制をするつもりはない。しかし、課税所得がある程度ある人間にはほぼ必ずといっていいほどお得な制度であり、「黄金の羽根」なのだ。使うべきだろう。
1人の有権者として国家のあるべき姿から制度を批判する傍ら、1人の納税者として制度の歪みから便益を得る一見矛盾した行動は、極めて合理的なものであり、間違ってはいないと私は思う。
(ただ、職場等ではむやみやたらに喋らないのもまた肝要かと。)